「間違いだらけのクルマ選び」で世に出て名を馳せたのは衆目の一致するところだ。氏には申し訳ないが、私は件の著作はあまり好きではなかった。編集がいまいちなのか単調で読んでいて飽きが来るのだ。しかし内容はクルマ好きなら納得させられるものがあり個々の記事は興味深かった。ことばの使い方がキャッチーかつ断定的なので、読者は感覚に訴えられているような気になるが基礎はその的を射た情報にあると思う。私は一つの車種を永く乗り継ぐような自動車生活をしていた。したがって他のクルマのことは実際にはよく知らない。逆にユーザーでしか知り得ないようなこともある。何年刊のものかは忘れてしまったが、そのような内容をさらっと記述していて思わずうなったことがある。現在ではネット等により素人でも様々な情報に触れることが可能だ。私のようなええかげんな田舎オヤジでもブログ等で如何にも知ったかぶりが出来る所以である。オヤジも大差ないがこのひとの生きて来た時代の情報環境は今日とは全然違う。靴をすり減らして獲得したものしか自らのものにはならない。所有車はすべて自腹で買ったと云う話しは有名だ。この現場本位の積層の上に氏の論評は成り立っている。クルマの話しを一部の趣味的世界から一般人の楽しみにまで引き上げた。自動車評論と云う特殊な分野を切り拓いて来た氏の業績に敬意を表する。本日の画像は自動車雑誌NAVI誌の18年前の表紙である。個人的在庫から引っ張り出した。普段なら写真掲載なのだが今回はオヤジ的に気合を入れてスキャンして取り込んだ。見出しから当時の氏の活躍ぶりがうかがえる。
徳大寺有恒さん
ご冥福をお祈りいたします
ポチッとひとつおねがいします!!