画面の向こうの政治家の襟に赤い羽根を見る時候となった。
高知を発つ時に晩飯のうまい処を段取っておくようにと註文を入れ父親はバスに飛び乗る。
じゃない、よじ登るが如く車中の人となった。
京都の町は碁盤の目の様に出来ているから、とても分かり易い。
とはよく聞くが、馴れ無い者からすると何処の辻も似た様な景色に見えて、
かえって分かりづらくある。
とうに日も暮れた古都の舗道を、右往左往する父子。
ふたりして往くべき先を尋ねているのではなく、
当て所なく探している点がなんともDNA。
結局、最寄り駅の改札で習った街角のファミリーレストランの扉を押した。
差し向かいのボックス席で、何時になく饒舌な二人だった。
窓の外、親父の出つ腹の様な曲率の半月が九月尽の洛北街道を静かに照らしていた。
ポチッとひとつおねがいします!!