小気味よいフットワークから時折えぐるようなジャブが差す。一見ノーガードな懐にお見舞いしてやったつもりが次の瞬間には意識が飛んでいた。軽妙な左もさることながら、相撃ちも辞さない強烈なカウンターこそ、彼の本領だろう。それは相手の力を最大限に利用する。その為には、戦況を瞬時に見切る能力が必要だ。

紳助をイメージしてみた。いきなりの事で驚きだが、ガードが甘かったのだろうか。防御の粗雑さは彼の持ち味でもある。男一人それなりに歳を食んでいれば履歴欄に小傷もつこう。理由がどうあれ黒い交際には肯定される何ものをも有りはしないが、自らセーフだと認識していたとの抗弁はやんちゃなおっさんのイメージそのままだ。そう云う意味では常に本音で歩んで行くタイプだと云える。彼のこの虚飾の無さこそ視聴者の興味と関心と賛意を同期させていた要素であることに彼は気が付いていただろうか。時流にもてはやされてビッグになったはよいが時としてすくわれやすい足元を放置していた感は否めない。ひとつ苦言を呈するならば、身の施し方に際し相応の時間を割いてほしかった。バイトのにいちゃんじゃあるまいし彼ほどの影響力を有する人物の採る行動ではない。自身は一匹狼の心象かも知れないが彼が手を掛けて育ててきた後進の人々の思いを尻切れトンボにしてはいけない。針のむしろに坐する勇気も必要ではなかったか。鈴鹿8耐での活躍ぶりはつい先日のことだった。彼ほどの人、再起は想像に難くない。才覚は十二分だろうから今後はナニワのあきんどではどうか。失礼洛北の農人だったっけ。自転車には乗りそうに見えないな。
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