おじいちゃんが、ケガで入院したのでここのところ頻繁に病院へ行く。
高知医療センターである。でかい。きれい。ものすごい設備。
1Fロビーなんか殆どホテル状態である。
いや別に病院がホテルみたいだったら病状が劇的に快方へ
向かうわけでもなかろうに。いや案外心持ちでそうなるかも。
まあ、それはいいが、この病院なんだかヘンである。静かすぎるのだ。
こんなにデカイのに。デカイ公立の総合病院特有のあの雑多な混雑感が
まるで無いのである。もうスカスカって感じ。
理由は簡単。此処は敷居が高くてしかもお帰りが超速い病院なのである。
この病院は入院後重篤状態を脱した患者は速攻で退転院させるのである。
そこそこの病気やケガならあっという間に出される。
従って、滞在期間は短い。
例外は有る。併設の救命救急センターと母子医療セクションである。
ここはめちゃめちゃ忙しいらしい。
そりゃーそうだろう。なにせ屋上へヘリでバンバン搬送されてくるのだから。
問題は本体である。
入院患者のメドがついたら速攻退転院となる理由は、此処が高度専門医療に特化
しているからであるらしい。
院内にそういう文面の掲示物があった。Kochi Health Science Centerは高知の
地域医療の最後の砦たらんとしているのだ、と。
それもいいがなにか腑に落ちない。
何故ならば、この大病院は高知の既存の2つの公立の大病院を統合して出来たものだからだ。
1つは県立中央病院、もう1つは高知市民病院である。
余談だが、市民病院跡には防災センターが建つ。高知市の最後の箱モノと云われている。
県立中央病院跡は県外資本の大手スーパーとこれまた県外資本の分譲マンション
タウンに生まれ変わる。どちらの病院も既存時は地域住民でごった返していた。
この大盛況だった2つの病院を統合したのに、出来たのは高度専門医療に特化した
ハイパーホスピタル1つだけである。
高度専門医療とうたうが、高知にはこのKHSC出現以前から、国立病院1つ、国立大学
付属病院1つ、高度専門及び救急医療に特化した大規模民間病院1つ、それに国内初の
脳死判定で名をはせた日赤病院も既存である。
これらの病院も精一杯やっているが、まだまだ質的量的にも不足であるから、この
KHSCが、高知の地域医療の充実という看板を背負って新設されたのだ。
高知の地域医療の充実は、皆望むところである。
高度専門医療に特化した病院も必要だろう。
しかし、今回は同時に2つの公立病院が消えたのだ。
これを忘れてもらっては困る。
紹介状がなければかかれない。入院してもすぐに転院させるような病院は出来たが
はたしてそれで高知の地域医療の充実に大幅に貢献していると胸を張って云えるのか。
そして、その役割をはたすべく出来た大病院が「自分の役割はここまでですから」
なんて無責任な線引きを公言しているだけでいいのか。
既存時にあの雑多な公立病院で日頃の不具合を診てもらっていた私達は
これからいったい何処で診てもらったらいいのか。
幸か不幸かおじいちゃんはまだ転院になっていない。
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