この本は都合三回の借り出しを経てようやく読み終えた。常時予約残が幾十件もある人気書籍なので連続で借り出すのはほぼ不可能だ。中盤頃だったかちょうどテレビドラマ版がオンエアになり情報封鎖するのに難儀した。三猿状態。もちろんテレビのほうは観ていない。原作本を凌駕する他メディアは仲々ないと思う。しかし映像情報は単にそれだけでも強烈なものなのでそこは注意を要した。ただの読書なのだが読書を楽しむにも見えない苦労はいる。
全作読んでいる訳ではないが、彼女の作品の物語の終りかたが好きである。作ごとに違うのだろうけれど何かしら黄金定型のようなものを感じる。具体的に云えば場面が流れるように映像として起ちあがる印象を持っている。いつも惚れ惚れする。
感想としては感嘆符をいくつ付けても足りはしないだろう。感動すると云う語句がありきたりに聞こえてしまう。悪く云えば手練れの作家の術中にはめられてもてあそばれたような印象すら抱かせるものがある。しかしわれわれには分かる。このひとはそのようなひとではない。衝撃の終章だとうわさには聞いていた。ストーリイの進行にしたがって読者なりに枝葉の想像も膨らんでいくというもの。そして読者にあらゆる選択肢を絞り尽くさせたその先の先を彼女のペンは走っている。
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